■はじめに

※当ブログは初プレイ時の楽しみを損なう可能性のあるネタバレを数多く含みます。
原作を最後までプレイしていない方はご注意下さい。


■3つの前提

「うみねこのなく頃に」
という作品には様々な前提を元にした解釈があり、それらは互いに否定されるものではありません。
ですので無用のすれ違いを回避するため、はじめに当ブログで行う考察の「3つの前提」を記します。

1.ファンタジーを否定しない
2.全てのシーンはどこかの世界の"真実"
3.竜騎士07を過小評価しない

これらの前提は当ブログの考察の方針を纏めたものであり、絶対の解釈ではありません。
このような作品の読み方に興味のある方に読んで貰えればと思います。

それぞれの前提についての詳細を「続きを読む」以降に記します。



■考察の方針
1.ファンタジーを否定しない

「ひとつの目では距離は測れない。ふたつの目があって初めて物事は立体的に見え、その距離も測れる。」(EP4.縁寿)

まず、「うみねこのなく頃に」を構成する2つの柱である「ミステリー」「ファンタジー」の両方の視点から物語を整理していくことを目的とします。
この作品についてミステリーの視点から行った考察は既に数多く存在するのですが、ファンタジーの視点は軽視されがちに見受けられます。
そのような現状を踏まえ、ファンタジー世界の肯定という新たな視点から作品を理解する為の助けになればと思います。


2.全てのシーンはどこかの世界の"真実"

「誰にも否定できないから、いくつでも、どんなに相互が矛盾しても、それらの真実は同時に存在できる。」
(EP6.戦人)

同時に、当ブログでは「作品で描写されたシーンを可能な限り"真実"として扱う」という方針を重視します。
例えば登場人物の過去のシーンや、実在が不確かな人物や幻想世界の住人等のシーンについては「誰かが想像で書いた世界なのでは?」という疑問や仮説が浮かび上がります。
しかし、ここではそれよりも「どこかの世界の"真実"である」という解釈を優先的に選択していきます。
理由はそれが「面白い」という主観的な感情のためです。どちらの解釈も完全に否定できるものではないので、個人的に面白さを感じる前提から出発していこうという方針という訳です。
これにより、幻想世界の住人のシーンがただの想像によって書かれたシーンではなく、「作中に存在する世界で実際に行われた出来事が描写されたシーン」であると解釈出来るようになります。

この方針だと、「ミステリーの真相」は「ニンゲンの世界の真実」を表し、さらにそこに加え「ファンタジーの世界の真実」についての考察も進めていくということになります。
実際にこのような視点でこの作品を読んでみると、ミステリーの事件だけでなくファンタジーの世界の設定も数多く用意され、それらが様々な要素と関わり合っているということが分かり、非常に興味深いです。
その面白さを少しでも多くの人に伝えられることができれば幸いです。


3.竜騎士07を過小評価しない

愛がなければ視えない

冗談のような前提ですが、重要な出発点です。
「うみねこのなく頃に」が完結してかなりの年月が経ち、当初では理解されなかった仕掛けが長年の考察や漫画版での加筆修正によって明らかになってきているのですが、そこで観察されたことが「竜騎士07を過小評価していたせいで深く考察されていなかった」というポイントが想像以上に多かったということです。
「どうせこの作者のことだから深く考えていないだろう」という結論による思考停止はまさに考察側の油断です。
とは言え誤字脱字勘違いの多い作者なのでついついそう考えてしまうのですが、なるべく気を付けて考察漏れを限りなく少なくしていきたいと思います。


■参考文献&サイト(2015/05/29)
・うみねこのなく頃にWiki(URL) ……様々なデータが集積されており、主な引用先となります。
・配布小冊子 ……考察対象に「うみねこのなく頃に翼・羽」と共に、それらに未収録の配布小冊子のSSも含めます。
・うみねこのなく頃に漫画版 ……漫画版では様々な加筆修正点があります(特にEP8)。当ブログでは漫画版の設定も踏まえた考察を行います。