>無限の魔女は、「無限創造」を基盤とし、彼女の比類なき無限の魔力の根源となる。
(EP4.TIPS ベアトリーチェの称号)

「うみねこのなく頃に」
の重大な柱である「ベアトリーチェの魔法」について、後見人のラムダデルタとの関係に注目しながら整理をします。

ベアトリーチェの魔法大系は後見人のラムダデルタに高く評価されています。
ラムダデルタ卿の回想記」から抜粋すると、

>彼女ならではの独自の解釈
>それまでの私が知り得なかった、広大な魔法世界
>魔法世界はまだまだ生成されている途上にある。しかし、その生成に至る組成式は、完璧かつ無限の可能性を備えている。

のように、千年を生きる魔女にとってすら珍しく、レベルの高いものであると評しています。
ここから数回の記事を用いて、そのベアトリーチェの「無限」「黄金」の魔法、そして「後見人」についてまとめます。


1.無限の魔法


弱い者虐めが大好きで、どのような運命を与える事がもっとも過酷かを、無限に試行錯誤できる。
(EP2~EP4.TIPS:ベアトリーチェ)

ベアトリーチェはゲーム盤において、「駒」を自在に生み出し、殺すことが出来る力を持っています。
そしてそのゲーム盤自体も、ニンゲンの世界の中に幾つでも無限に作り出すことが可能です。
これがまさに「無限の魔法」で、「無限の魔女」の名に表される代表的な力となっています。


2.人間界で組成される魔法大系

何よりもこの“魔女”の個性的な点は、その魔法大系を人間界にて組成することに成功していたことだ。

(ラムダデルタ卿の回想記)

ここで重要なのは、あくまでそれは「人間界にて」行われているというラムダの分析です。
ニンゲンの視点からベアトリーチェの無限の魔法を解釈すると、「原稿用紙に執筆した(あるいは自身の空想上の)ミステリー世界に登場人物を生み出し、殺す」という行為に相当します。
(ベアトの魔女でない姿をラムダはEP3で「みすぼらしい存在」と表現していますが、それがこのニンゲンの視点でのベアトの姿を指していると考えられます)
単に自分だけの空想の世界で魔女として振る舞うだけでは上位の魔女であるラムダデルタに評価されることはありません。魔女とは「ニンゲンを超えた力を持ち、それを自由に行使できる」存在だからです。

ですが、ベアトリーチェはその空想を空想のままで終わらせていませんでした。彼女の魔法は現実の世界に影響を与え、自身が魔女であると周囲に認めさせる力を持っていたからです。
その事実は魔女の視点では高い「魔力」を持っていることに相当し、それがラムダデルタに自身が魔女であると認めさせる根拠の一つになっています。

>私があんたの後見人を辞めれば、あんたはすぐにニンゲンに逆戻り。
>…どんなにすごい魔力を持っていても、…あんたは仮初の魔女でしかないことを、……決して忘れないことよ。
(EP3.ラムダ)

ラムダが後見人であることを盾にベアトに威圧的な態度をとっていた時でさえ、彼女は「すごい魔力」を持っていることを認めています。
その魔力の原動力とも言える概念が、次回に述べる「黄金の魔法」の話となります。


3.原初の魔法との相乗効果

>原初の魔女とマリアージュ・ソルシエールで結ばれた時。彼女たちの魔法大系は無限の広がりと、無限の力を手に入れたのだ。

(EP4.TIPS:ベアトリーチェ)

また、ベアトリーチェの無限の魔法は真里亞の「原初の魔法」によってさらに高い力を得ます。
それはラムダが期待した「無限の可能性を備えている」力を実現したマリアージュ・ソルシエールの魔法大系です。
これはニンゲンの視点では、キャラクターを創造することに秀でた真里亞との協力によってベアトリーチェの「魔法世界」のキャラクターや設定が大きく広がったと解釈できます。


まとめ

以上にまとめたように、無限の広がりと無限の力を手に入れたベアトリーチェは、ニンゲンの世界の中に自分の力が行使できる範囲を無限に拡大しました。
普通の魔女のように、ニンゲンの世界全体をニンゲンを超えた力で支配するのではなく、自身の力が有効な領地を無限に作り出すことで魔女となる、という手法がラムダの言う「個性的」な魔法大系であると言えるでしょう。