「うみねこのなく頃に」のEP8の謎を一問一答方式で書いていきます。
(EP全体に関しての話のこちらの記事と合わせてお楽しみ下さい)

書籍「最終考察うみねこのなく頃に散」の「偽書作家テスト」を改変したものに加え、その他気になる点について書いていく予定です。
もし「こんなことが聞きたい」というような質問がありましたら、気軽にコメント欄に書き込んで下さい。

尚、この内容はあくまで「うみねこの読み方のひとつ」であることを予め宣言しておきます。
※6/16更新

■EP共通
Q.ベアトのゲームのミステリーの真犯人は?

A.犯人は「紗音、嘉音と同一の肉体を持つベアトリーチェという名の人物」です。
共通の共犯者である源次、熊沢、南條に加え、EP毎に異なる人物を買収し、共犯者としています。


■EP8について
Q.ゲームマスターと作家の違いは?
A.ゲームマスターは幻想世界でゲーム盤を創造する存在で、作家は現実世界で物語を創造する存在であると言えます。
現実世界の作家と物語を幻想的に解釈したものがゲームマスターとゲーム盤であると言うことも出来るでしょう。

Q.各EPの作者は誰?
A.各EPのシナリオが現実世界で誰によってミステリーの物語として執筆されているか、と考えます。
するとEP1~2を安田紗代、EP3~8を八城十八(伊藤幾九郎)が執筆したことになります。
一方、幻想世界ではEP1~4がベアトリーチェ、EP5がラムダデルタ、EP6がGM、戦人EP7がベルンカステル、EP8がベルンカステルとGM戦人がそれぞれゲームマスターとしてゲーム盤をというファンタジーの物語を作成しています。

そして、現実世界のミステリーの物語と幻想世界のファンタジーの物語両方を含む、我々が観測しているものと同一の物語を最上位の階層に存在する「バトラ」が「ベアトリーチェに捧ぐ物語」として執筆したと考えることが出来ます。

Q.ベアトリーチェの心臓とは何か?
A.紗音、嘉音、ベアトリーチェが同一の肉体を持つという同一肉体トリックと、六軒島を吹き飛ばす爆弾の両方がベアトリーチェの心臓だと言えます。

Q.ヤスの血縁関係を分かる範囲で説明せよ
A.金蔵とベアトリーチェ1世(ビーチェ)の娘がベアトリーチェ2世(九羽鳥庵に幽閉されていたベアトリーチェ)であり、金蔵とベアトリーチェ2世の娘が安田紗代です。
すなわち、安田紗代と金蔵の孫達は3親等の血縁関係にあると言え、その事実が金蔵の孫達への恋心を持った安田紗代を苦しめる結果となりました。

Q.真里亞は事件にどのような影響を与えた?
A.安田紗代にとって真里亞は魔法の世界について話ができる貴重な友人で、マリアージュ・ソルシエールにおいて真里亞はベアトリーチェの弟子でした。
ベアトリーチェの魔法大系は真里亞の「原初の魔法」、すなわち一から魔法世界の存在を生み出す想像力によって大きく発展します。

しかし、真里亞の楼座への黒い感情を解消するためにマリアージュ・ソルシエールの扱う魔法は人に害をなす魔法が中心となっていきます。このことは少なからず数年後の碑文殺人事件を計画する動機に影響を与えていたといえるでしょう。
碑文殺人計画内においては、真里亞はベアトリーチェの言うことを盲信する害意無き協力者として事件の進行に利用されます。

Q.赤き真実と黄金の真実の強弱について説明せよ
A.赤き真実は「絶対の真実」を意味し、現実世界では「事実」を意味します。
一方、黄金の真実は「認められた真実」を意味し、現実世界では「心の中の真実」を意味します。
心の中の真実は新たな事実によって容易に覆されてしまう可能性があるという意味で黄金の真実は赤き真実はよりも弱いです。しかし現実における事実とは、それが明確な絶対性を確認できるものでない限り、人の「心の中の真実」を否定しきることが出来ません。その意味で黄金の真実の強さは時に赤き真実を上回ります。

Q.フェザリーヌと幾子は何のために登場し、何をしたの?
A.フェザリーヌは元々退屈という死から逃れるためにベアトリーチェのゲーム盤の観劇を始めました。観劇の為に自身と似たパーソナリティを持つ八城幾子という女性を自身の分身として物語に登場します。
そして戦人が全てを理解した後の物語を観劇するために縁寿を巫女とし、巫女としてフェザリーヌを満足させた褒美として縁寿が1998年に自殺しない可能性のあるカケラを創造し、そこで縁寿の行う選択を見守り、物語として記録します。
幾子は偽書を十八から縁寿へのメッセージとして世に放ち、さらに日記非公開宣言事件を起こすことで世間の六軒島への関心を終息させました。

Q.ベルンカステルの正体とは?
A.ベルンカステルは「ひぐらし」の古手梨花が魔女化した存在で、人間の古手梨花とは異なる存在です。
彼女は奇跡を願う人間の元に現れ、奇跡が起きる、または起きないことを宣告する奇跡の魔女です。
これは現実世界で奇跡を願った結果、奇跡が起きた、あるいは起きないといった人間の奇跡の物語は、ベルンカステルの関与した物語として観劇されるということを意味しています。
また、幻想世界のベルンカステルは現実世界の幾子が飼っている猫が脚色された存在として登場しています。

Q.ラムダデルタの正体は?
A.ラムダデルタは「ひぐらし」の鷹野三四が魔女化した存在で、人間の鷹野三四とは異なる存在です。
彼女は絶対を願う人間の元に現れ、その絶対性を保証するという絶対の魔女です。
これは現実世界で絶対を願い、実際に絶対の結果を生み出した人間の努力の物語は、ラムダデルタの関与した結果の物語として観劇されるということを意味しています。
また、幻想世界のラムダデルタは現実世界で物語を楽しむ学生が脚色された存在として登場しています。

Q.山羊が世界を食い尽す描写の意味は?
A.ベアトリーチェの魔法に否定的な見方をする未来の人々の観測により、ベアトリーチェが守りたかった1986年の六軒島の幻想が否定されていく様子がベアトリーチェのゲーム盤を食いつくす山羊として表現されています。
ベアトリーチェの眷属だった山羊が描写に用いられたのは、ベアトリーチェの魔法世界観の「魔界」が他者を害する象徴として存在していたことに由来すると想像できます。

Q.「一なる真実の書」の内容は?
A.EP7で縁寿に対して見せられた事件が絵羽の視点で記されていると考えられます。
その絶対性は神の視点を持つフェザリーヌが保証しており、このことは八城幾子が実際に絵羽から日記を受け取り、内容を実際に確認して真実性が確認されていると考えられます。

Q.八城幾子が真実の書と鍵を持つ理由は?(6/22更新)
A.偽書を読んだ絵羽が十八と幾子の元に会いに来て、縁寿の為に六軒島事件の真実を封印する目的で日記の鍵を彼らに預けました。
また、日記は絵羽の死後に他の人を経由せず幾子が入手した可能性が高いと考えられます。絵羽が縁寿のことを気にかけていたならば、鍵がなくても中身を見られてしまう可能性があった日記を見も知らぬ人に渡るようにしていたとは考えづらいためです。

Q.ボトルメッセージを流した人物とその理由は?
A.安田紗代は碑文殺人事件が六軒島の爆発という結果で終わった場合のことを想像し、六軒島の人達が黄金郷に辿り着いたことを島の外に伝えたいという気持ちでメッセージボトルを流しました。さらに彼女は自身の罪を懺悔したいという気持ちでメッセージボトルの物語をミステリーの手法で真相に至れるように書きました。

Q.12年後の世界はメッセージボトルや偽書に書かれていた事?
A.我々が観測できる12年後の世界は偽書に書かれておらず、これらは上位魔女に「カケラ」、つまり平行世界として存在できる複数の現実世界を観測された様子を描写された物語であると考えられます。
また、12年後の世界で魔法的な描写があるシーンは、現実に起きたことや創作物に書かれたことではなく、上位魔女が「観劇」した結果描写されるという、事実が幻想で脚色された現実世界のシーンであると言えます。

Q.メタ世界はメッセージボトルや偽書に書かれていた事?
A.メタ世界にあたる、ベアトリーチェと戦人のミステリー議論というシーンそのものは書かれていたと考えられますが、それは我々が観測できるメタ世界は現実世界の偽書に執筆されたことそのものではなく、フェザリーヌ(とその巫女)が偽書の物語をベアトリーチェのゲームとして観劇した結果描写された幻想世界のシーンであると言えます。

メッセージボトルや偽書には戦人の主人公的な主観視点は書かれておらず、物語の流れを客観的に描写するような形で纏められていたのだと想像できます。また、お茶会以降のパートは記述されていなかった範囲であると考えられます。
加えて、その物語において真実は赤字で記されており、それが幻想世界で「赤き真実」として描写されたと考えられます。

すなわち、我々が観測する1998年の世界で起きたことは作中の事実であり、メタ世界の出来事は幻想世界における事実であると言えます。
そしてそのどちらもが観劇の魔女による「観劇」の結果として観測される、脚色を含む描写が行われたとものであるいう見方で物語を解釈することが可能です。

Q.八城十八が偽書を執筆した理由は?(6/22更新)
A.八城十八は六軒島事件に関するメッセージボトルの物語、そして真犯人である紗音、すなわち安田紗代の自白である「Confession」を読んでしまったことで、自身の中の右代宮戦人の記憶に苦しめられ始めました。

メッセージボトルと右代宮戦人の記憶の記憶からベアトリーチェの物語を理解した十八は、事件の引き金となってしまっていた右代宮戦人の罪の意識と、ベアトリーチェを救えなかったという後悔の念を背負うことになります。

十八は幾子の提案から、自分の中の右代宮戦人にベアトリーチェを理解させ、戦人の罪を思い出させ、戦人にベアトリーチェを救えなかった後悔を経させた後に、戦人とベアトリーチェ、そして六軒島の皆が救われる道を示すという「ベアトリーチェへの手向け」として偽書を書き始めます。

最初は、戦人の記憶から絵羽を現実の惨劇の殺人犯であるという誤解をしていたためEP3を絵羽への告発の物語として執筆しました。
そしてそれを読んだ絵羽が十八と幾子の元を訪れ、現実の2日間の事件の情報を共有し、絵羽の日記の鍵を十八と幾子が預かります。

一なる真実を理解した十八は、現実の2日間の惨劇を起こしたのが戦人と縁寿の両親である留弗夫と霧江であることを知り、さらに苦悩を深めました。その事実が右代宮戦人であると思おうとする十八をさらに苦しめ、彼は発作的に自殺を試みてしまいます。なんとか一命を取り留めた彼は、いずれこの真実と向き合うことになる縁寿の為の偽書を書き始めます。

そうして、ベアトリーチェが罪の懺悔として島の外に伝えたミステリーを全て解き明かしてそれを彼女への葬いとするというEP7の偽書、最後に残された縁寿に家族の暖かさを取り戻して欲しいという戦人からのメッセージとしての物語であるEP8の偽書を執筆しました。

Q.親族会議の第3日目(1986年10月6日)の描写の前には何が起こった?
A.絵羽に撃たれて倒れていたベアトリーチェ、すなわち安田紗代は実際には致命傷を受けておらず生き残っていました。彼女は親族同士の殺し合いが起きたことに対して自身の起こした事件を悔い、生き残った親族、特に戦人を助ける為に行動を始めます。

戦人を見つけた彼女は彼を礼拝堂の地下へ連れて行き、自身の過去と犯した罪、起こそうとしていた事件のことを告白します。この際、自身の触れられたくない過去については伏せられました。
そして地下で5日24時を迎え、爆発から難を逃れます。その後の展開はEP8の第3日目の島を脱出するシーンに繋がります。

Q.戦人とベアトリーチェが入水した意味は?
A.ベアトリーチェが入水した理由は、安田紗代が自身の犯した罪を抱えて戦人と共に生きていく事ができないという悲しみを抱えたことと、一方で戦人に自分のことを否定されずに二人で数年ぶりの会話をすることができたことで願いの一つを叶えたことのふたつにあると解釈できます。

戦人は当然ベアトリーチェを助けるために海に飛び込みますが、黄金をおもりとして海の底に沈んでいくベアトリーチェを助けることは現実に叶いませんでした。
フェザリーヌはこのシーンを沈んでいくベアトリーチェを戦人が追いかけて共に海の底の猫箱に入るという愛のある解釈をし、「黄金の薔薇」として猫箱を巡る物語のピリオドとしました。
これは海の底の猫箱の中で記憶を失った戦人がベアトリーチェを否定するゲームに挑み、ベアトリーチェは戦人が罪を思い出すのを煉獄山の頂上で待つ、というEP1のメタ世界に繋がる物語になっています。

Q.八城十八が寿ゆかりに行った告白の真偽は?
A.十八は寿ゆかりに真実を語っていると考えられます。
そのシーンで寿ゆかりが「赤き真実」に言及しますがこれは縁寿がEP8までのメタ世界で体験したファンタジーの世界での出来事から生き方を学んだ、という幻想側の視点からの描写であると解釈できます。

Q.福音の家の黄金郷が意味するものは?
A.十八の中の右代宮戦人が黄金郷で待つ六軒島の人々の元へ帰るというシーンは、海の底に沈んだベアトリーチェを助けることが出来ず、帰る場所を失っていた十八の中の戦人に帰る場所ができたことを示す幻想的な描写であると考えられます。
縁寿が福音の家を六軒島の屋敷を模してベアトリーチェの肖像画を飾ったことは、縁寿に右代宮戦人からのメッセージが偽書を通して伝わり、生き方を学んだ魔法という概念に対する敬意を表明していることを意味しています。
この事実が八城十八の中の右代宮戦人を救い、海に沈んだベアトリーチェが報われるという結末を実現させました。

Q.魔法と手品、縁寿にとってより良い選択は?
A.いずれも「黄金の真実による反魂の魔法」を理解した縁寿の選択する生き方ですが、魔法エンドの方が戦人の伝えたかったメッセージによって縁寿が家族の暖かさを黄金の真実として守り、その考え方の重要性を世界中の人々に作家として伝えて生きていくという人生の方が大きく救いのある選択であると思います。

Q.『うみねこのなく頃に』全体の真相は?
1986年に惨劇起きた惨劇は安田紗代の書いた物語と八城十八の中の右代宮戦人の記憶を残しました。
そして惨劇と魔女幻想によって八城十八の中の右代宮戦人が、そして右代宮縁寿が苦しみました。
八城十八と幾子は戦人とベアトリーチェを理解し、縁寿を救う為に偽書を執筆し、世論の沈静化の為に日記非公開事件を起こします。
偽書を通したメッセージは縁寿に伝わり、縁寿はそこから白き魔法と心の中の真実を大切にするという魔法を学び生きていくことを決意します。
そして縁寿はメッセージが正しく伝わり、戦人とベアトリーチェの為の福音の家に八城十八を招待し、彼の中の右代宮戦人を救います。

このように、ベアトリーチェのせいで起きてしまった惨劇で苦しんだ戦人と縁寿は、ベアトリーチェの作った魔法の概念によって救われました。これは、ベアトリーチェにとっての救いの物語でもあります。
以上の物語はバトラとフェザリーヌによって纏められ、「最愛の魔女ベアトリーチェに捧ぐ」の一文で完結します。